ヒューマニエンス 40億年のたくらみ NHK3/18放送
「“グレートジャーニー” ヒトらしさの進化の足跡」
感想
グレートジャーニーという言葉は比較的最近のもの。
メダカの新規性追求能力比較は面白かったが、9種の候補遺伝子については、もう少し詳しく言ってくれないとモヤっとする。
槍の穂先のコンポジット・ツールにはビックリ!
物理的な移動を伴わなくても「発見」が幸福感に繋がる点にはナットク。
内容
【司会】 織田裕二、藤井彩子
【ゲスト】稲垣えみ子 元朝日新聞記者
【解説】 海部陽介 東京大学総合研究博物館 教授
勝村啓史 北里大学 医学部解剖学 准教授
関野吉晴 探検家・医師
太田博樹 東京大学 生物科学専攻 教授
佐野勝宏 東北大学 東北アジア研究センター教授
注目されたのは1990年代辺りから。
ホモ・サピエンスの起源の考え方が劇的に変わった。
各地で生まれたのではなく、アフリカで生まれ世界に拡散した。なぜ今までの人類に出来なかったのか。
ホモ・サピエンス自身は30~10万年前から存在。約5万年かけて世界に拡散(1世代25年として2000世代)割りと一気に拡散。
冒険遺伝子が新天地に誘う?
猿人、原人、旧人に対しホモ・サピエンスの拡散は大規模。
海部氏は、台湾から沖縄与那国島まで当時の技術を使って旅する実験を行った。2016年から始め、成功までに3年かかった。
-その原動力には好奇心があった(多分祖先も同じ)-
好奇心は新規性追求→拡散のひとつの要因
新規性追求と生息域拡大の関係性を、メダカを使って調べた。
南日本メダカ(広い棲息域)西韓国メダカ(狭い生息域)
南日本はゴールするが西韓国はゴール出来ず。
新規性追求の強いメダカから新しい遺伝子の候補が9種見つかった(冒険遺伝子ではないか?)ヒトも共通して持っている。
関野吉晴氏。1993年、チリを出発しグレートジャーニーを逆に辿ってアフリカまで行く旅をした(約5万キロ、10年の旅)
祖先は冒険遺伝子を獲得し、きっかけを得て旅に出た?
移動の背景には「追い出された」という側面もあったかも?
ヒトは体を「変えない」
他の生物は、現生息地から移る時にはその環境に適応するため、生物学的な変化を遂げる事が多い。
ホモ・サピエンスはそんな変化を伴わなくて広がった。
人類最大の発明の一つは「縫い針」防寒具を作ることで-40℃環境にも耐える。発明によって世界を制覇した。舟もそう。
「想像と創造」その組み合わせで大きな力を生む。
今の努力は将来のため
船久保遺跡(神奈川)で見つかった旧石器時代の「落とし穴」
先読みして捕える。普通の狩猟とは違う。
アフリカは見通しが利く草原。熱帯雨林ではヤリは不向き。
ただし掘るのに大きな労力が必要→完成後の未来を予測。
2016年。サキタリ洞遺跡(沖縄)で世界最古の釣り針発見。
貝殻製で約2万3千年前に作られた。これも未来予測。
農業も収穫を想像して半年待つ。計画性、予見性が基本にある。
様々なものを食べるのもホモ・サピエンスの特性。
少しカジって様子を見る・・・
マルチタスクという飛躍
複数作業を同時にこなす→マルチタスク
グレートジャーニーの成功と深い関係がある。
コンポジットツール(複合的な道具)
骨の槍先に溝を切り、石器を埋め込んで殺傷能力を高める。
①骨の整形 側面に溝を彫る
複雑な道具を作る人間らしさとは?
分業はしていない(全工程を一人で作る)ただし集団脳が背景。
ネアンデルタール人は1、2家族。ホモ・サピエンスは数十人。
集団脳により発明確率も上がる。
プランニング・デプス(計画性の深さ)
年間の行動計画を立て、100キロ圏内を移動して暮らす。
食料獲得の安定にも繋がる。
移動するほど幸せになる
海外客も冒険者。移動と喜びとのつながり。
日常生活の移動でも幸せを感じるか?→実験
132名の被験者の移動をGPSで4ケ月追跡。
幸福感が高い人のMRI画像→海馬と線条体が強く連携
ヒトは探検するという本能がある(新しい場所が喜びと繋がる)
物理的な移動でなくても「発見」という概念もある。
もっといいものを生み出す(苦労するほど喜びか大きい)