私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

原題:Hypercube
シリーズ キューブ(1997) 

 

監督     アンジェイ・セクラ
脚本     ショーン・フッド
     アーニー・バーバラッシュ
興行収入:356万ドル

キャスト
ケイト  カリ・マチェット
サイモン ジェラント・ウィン・デイヴィス
ジェリー ニール・クローン
マックス マシュー・ファーガソン
ペイリー バーバラ・ゴードン
ジュリア リンゼイ・コネル
サーシャ グレース・リン・カン
大佐   ブルース・グレイ
将軍       フィリップ・エイキン


感想
前作とは登場人物、部屋の構成とも全く新規の続編。
とにかく部屋が明るい。この明るさで、深刻さが軽減されている様だ。物語で中盤まで話を引っ張るのはサイモン。
ナイフを持ち、次第に行動が狂暴になって行く。
中盤で、ジェリーが実はこの部屋の扉の設計に関わっていた事が判明。これは前作のワースが外壁を設計したというのと類似であり、明らかな「二番煎じ」
その点で行くとサイモンも前作のクエンティンと同じ位置付け。
サイモンがジェリーを「食う」設定は、あんまりウケなかった。
「え、食ったの?」てな程度。却ってない方が良かった。

部屋のトラップはそこそこあるが、四次元の立方体という設定での「ワケの分からなさ」に焦点が置かれている。
結局、イロイロ思わせぶりな設定で中の者を泳がせていただけ、という流れ。ケイトも巻き込まれた体を装っているが、要するにサーシャから情報を奪うことが目的だった。

そしてデータを渡した後、あっさり銃殺される。

ただ、ケチはつけてもこういう設定は、嫌いではない。

一つの映画ジャンルとして「アリ」だとは思う。
あとは「ヒネリ方」だろうなぁ。

今作は、二番煎じだけあって興収は最初の半分以下。

15分あらすじ動画

 

12分あらすじ動画(英文の説明あり)

 



あらすじ
ビニールにくるまれた男女を順に映していくカメラ。
立方体の箱の中で目覚めた女性。ラボでの断片記憶。

「アイゾン社」の社員証。


全ての壁面中央に扉があるが、取っ手はない。彼女がそこに手をやると、シャッターが上下に開いた。通り抜けようとして体を出すと、上方に引き上げられて悲鳴を上げた女性。

箱の中で目覚めた中年男性。一心に何かを探すが見つからない。アタッシェケースを開けるが、中はカラ。「あいつら・・・」

別の部屋で目覚めた白シャツの女性。

壁の扉にタッチして開け、隣に移ると、男が倒れている。

声をかけたとたん、男が彼女に馬乗りになってナイフを突き付けた。ここはどこだ?と質問責め。


若い男マックスが顔を出す。それを彼女が追うが誰もいない。

更に隣の部屋に移ると、サングラスの女性が部屋の片隅に。
「来ないで」と弱弱しい声。サーシャと名乗った。盲目らしい。

他の扉から、小太りの男性が入って来る。ジェリーと名乗った。皆と同様、ここが何か知らないが、移動のたびに扉に数字4を書いていた。ジェリーに、ケイトと名乗る女性(精神科医)
何かが近づいている、と怯えるサーシャ。
ジェリーが扉を開けると、最初のアタッシェケースの男が首を吊っていた。必死で足を支える若い男性。
そこに、最初ケイトを襲った男が舞い戻って来た。

皆で何とか男を下ろす。胸ポケットの身分証から、彼が国防省のマグワイア大佐だと判明。

体じゅうに拷問の跡があった。

 

ナイフの男はサイモン。若者はマックスで、ゲーム関係の仕事をしていた。その関係で、大佐がペンタゴン関係者だと見抜いた。
次いで扉から白髪の中年女性が顔を出した。

シャワー室がないと意味不明の小言。ペイリーと名乗った。
たびたび異音が聞こえる。ジェリーの見解では「部屋が移動している」目覚めたマグワイアに詰問するサイモン。

その時、壁面全体が揺れて見えた。波打ちながら少しづつ近付く壁面。皆が隣の部屋に移ろうとするが、マグワイアは壁の梯子と手を手錠で繋いでしまった。飲み込まれたアタッシェケースが無残な姿になる。ケイトが必死で助けようとするが無理。
ギリギリで扉から脱出するケイト。マグワイアは飲み込まれた。
脱出するたびに次の壁が迫る。また皆で扉を抜ける。
移動を繰り返し、ジェリーのカウントで10回目になってようやく落ち着いた。
ペイリーがケイトに「お名前は?」と訊く。認知症の様だ。
実は、ここのドア(タッチセンサー)を設計したのは私だと言い出すジェリー。フリーの技術屋。口止めされていたので黙っていたという。サイモンの詰問にも答えられないが、聞いた噂で「量子のテレポーテーション」と言った。
その時ペイリーが、壁の構成材の模様を見て「テセラクト」だと言った。4次元の立方体だという(別名ハイパーキューブ)


これで説明がつくと言うジェリー。

同じ部屋が何度も現れたり、部屋が消えたり・・・
これは実はTV番組だと言い出すマックス。
ふと気づくと天井に「60659」の文字が手書きされていた。

ジェリーにも心当たりがない。部屋の数?・・・

マックスが隣の部屋の扉を開くと、赤いドレスを着た女性が倒れていた。

助けに行こうとするが、入ったとたん重力が反転して、その面が天井になった。梯子を伝って何とか降りるマックス。
目覚めた女性はジュリアといった(職業は弁護士)

それを機会に、皆ここへ来る前の記憶を話し合う。

その部屋で、ジェリーが着けていた腕時計と全く同じものが見つかった(刻印も同じ)。黒幕はお前だと断定するサイモン。
その時ペイリーが、隣の部屋にいる人を発見した。
男は既に死んでいて、身体には自分で書いたと思われる数式。
男を見て「ローゼンズワーグ博士」だと言うペイリー。

ノーベル賞級の理論物理学者。数式は壁にも書かれている。最後に例の「60659」の数字。それをペンで腕に書いたケイト。

ペイリーが、飼い犬のアイゾンがいないと騒ぎ出す。

アイゾンは兵器メーカー。違和感を覚えるマックス。
そんな彼女に仕事を訊くと、退職前は理論数学の研究者。

仕事場は「スキッピー研究所」だという。
ケイトは閃いてスキッピーが犬の名で、働いてたのがアイゾン研究所では?と訊く。その通りだった。
アイゾンではどんな研究を?と訊くサイモンに「アレックス・トラスクの考えは不可能だし、非人道的」と言い出すペイリー。
その名を数人が知っていた。天才的ハッカーで、もし彼がここを作ったとしたら、脱出は不可能。
ケイトが辛抱強くペイリーから話を聞き出す。

彼女がここの製作に関わっている可能性はありそう。

ケイトにおだてられて上機嫌に扉を開くと、その向こうにペイリー本人がいた。その相手と手を握り合うペイリー。相手が助けを求めていた。

「この女を信じるな!」と言って後ろからサイモンが彼女に取り付く。次の瞬間、透明な円柱に首を飛ばされるサイモン。

こちら側のサイモンがそれを見てショックを受ける。
ここが多次元の量子空間なら、並行した複数現実があってもおかしくないと言うジェリー。

皆が仮眠中、サイモンがジェリーに自分は私立探偵で、ベッキーという女性を探している、と写真を見せた。

アイゾン社に勤務しているという。
 

サーシャが何かを感じて怯え、ケイトに伝えた。部屋の中央に四角で透明な物体が現れた。それが次第に立方体になる。

それは棘の様なものを出して次第に巨大化。

部屋を動き回りながら皆に迫る。逃げまどうみんな。

次々に扉から逃げるが、ペイリーを送り出したところでジェリーが捕まった。

体中を切断され、物体に取り込まれていき消滅したジェリー。


最後にサーシャが残された。助けに行くケイト。

彼女が落としたサングラスが取り込まれてバラバラになる。
じっとしている様指示するケイト。物体の動きは次第に緩やかになり、最後には消滅した。何とか扉から出た二人。


ペイリーの認知症が偽装だと思うサイモンは、彼女を縛り上げて尋問。その時壁から透明な柱がどんどん伸びて来る。
手の紐は解いたが足は床の梯子に縛ったまま。

しがみつくペイリーの腹を刺して逃げるサイモン。
マックスとジュリアは、サイモンから逃れて次々に隣へ移った。

立方体から逃れたケイトとサーシャ。再び「60659」を含む数列を見つけたケイトは、腕にメモをする。

誰かの誕生日かもしれない、と投げやりなサーシャ。

マックスとジュリアが入った部屋は、時間の速度が変化していた。そういうゲームを開発していたマックス。

だがそのアイデアをサイバー社に盗まれ、今裁判中だと言う。
相手が悪すぎると言うジュリア。その親会社がアイゾン社。
実はジュリアは、アイゾンの弁護士だった。

サイモンが、隣の部屋から男を引っ張り出した。死んだ筈のジェリーだが、サイモンのことを覚えていない。これが並行世界か。
ジェリーに俺は腹ペコだ、と言うサイモン。
ケイトが次に入った部屋では、自分たちメンバーのミイラ死体があった。「別の世界ではハッピーエンドじゃなかった・・」

次の部屋に入ったサイモン。腕にはもう一つジェリーの腕時計をしていた。また返り血を受けている。そこに再びジェリーが現れる。「ここがどういう所か知ってますか?・・・」

再び餌食にされるジェリー。

ミイラの前で考え込むケイト。サーシャは一人で行って、とケイトに言う。必ず出口を見つけて見せると言うケイトに
「私にも見つけられないのに・・・」と言ったサーシャ。
ケイトが問い質すと
あの人たち、ここに人を入れるって言った。だから止めてって言ったの・・・それで絶対捕まらない場所に逃げ込んだの」
「ジェリーは間違い、マックスは正解・・」
実は、サーシャという愛称の元はアレックス。
「初めまして」と言うアレックス・トラスク。

「最低。早く夢から覚めたい」と言うジュリア。

「本当に夢だと思う?」と訊くマックスにキスをしたジュリア。
「タイプじゃないから、現実じゃない」
「僕も君はタイプじゃない」と言いながら二人のキスは続く。
二人は裸になり、空中を舞い始める。

いつの間にか2人はミイラになった。


三個目の時計を腕に付けるサイモンが、扉から出ようとする者を引きずり落とした。それはベッキー・アングル。
君の両親に頼まれた、と言うサイモン。

 

だが喜んで抱き着いたベッキーを刺し殺したサイモン。
「ここは人殺しをするには最適だ」

サーシャことアレックスは、作り方を教えただけだと言った。

そして、もう私にはどうすることも出来ないと続ける。

更に時間が来れば全てが終わる、とも。
まだ望みはある!と彼女を連れて隣の部屋に行くケイト。

だがそこには助けた筈のマグワイアの、ミイラ化した首吊り死体がおり、周りの壁面に今まで見た数式が現れ始めた。
アレックスは「全ての現実がこの部屋で重なり始めた」と言う。
ケイトは次々に扉を開けて行くが、今まで起きた悲惨な場面が繰り返されている。次の扉を開けると、血の付いたナイフを持ったサイモンが襲いかかろうとした。ペンでその左目を刺すケイト。
扉はすぐ閉じたが、振り返ると年老いたサイモンが、アレックスを首絞めにしていた。目は古傷の様になっている。

ここでは時間の進み方がおかしいんだと言うサイモン。
身代わりになるならこちらに来いと言われ、少しづつ近付くケイト。だがアレックスが「どうせみんな死ぬ」と言った時、彼女の首をひねり折ったサイモン。
扉を開けて逃げ出したケイトだが、顔を出した先にサイモンの後ろ姿があった。元のサイモンの部屋ではケイトが顔を出している。混乱するサイモンに飛び掛かったケイト。
揉み合ううちに、サイモンが誤って自分の太ももを刺す。

そのスキに喉へパンチを入れると、あっけなく倒れてしまった。
サイモンの腕には4個の腕時計が嵌められていた。

そして時計の時刻は6:05:46。

60659は、ここが崩壊する時刻だったのだ。
部屋全体にヒビが入り始める。ケイトは、死んだアレックスの首からネックレスをむしり取った。そして床にある扉を開ける。
奈落の様な闇。崩壊が始まる。扉を構成する壁も消滅し始めた。
そして6:06:59になった時、床の扉に飛び込んだケイト。




水びたしの床で目覚めたケイトは、制服の男に抱えられて上位者らしき男の前に引き出された。

「やあケイト、良く戻ったな。ところで解明出来たのかな?」
「はい将軍、ギリギリのところで」
「それで、例のチップは?」

部下が用意したケースに、アレックスから奪った円筒状のものを入れるケイト。


「何か記録されていないかダーシーに調べてもらおう」
 

そして将軍が去った後、兵に銃で頭を撃ちぬかれたケイト。



電話がかかって来て、それに出た将軍。「ご安心ください。第二段階は完了しました。・・分かりました、直ちに。閣下」